地震保険の保険金請求のコツや査定のポイントは?保険金を請求する際の流れもご紹介!

災害大国である日本において、万が一の地震や津波の被害に備えて地震保険に加入しておくことは有効な対策といえます。しかし、地震保険へ加入しているにもかかわらず、被災した後になって保険金の請求を忘れたり、手続きが遅れたりするケースも少なくありません。

そのような場合に備えて、地震保険の保険金を請求する流れを知っておけばいざというときでも安心です。また、適正な保険料を請求するためにも、地震保険でどのような箇所が査定のポイントになるのかを把握しておくことも重要です。

今回の記事では、地震保険の保険金請求の流れや査定ポイントについて詳しく解説しましょう。



地震保険の保険金を請求する際の流れ

はじめに、地震保険に加入している家屋が地震や津波の被害に遭った場合、どのような流れで保険金が支払われるのかを紹介しましょう。保険金の請求から実際に振り込まれるまでには、大きく分けて4つのプロセスを経ることになります。

1.保険会社への連絡・訪問日程の調整

地震保険に加入しているからといって、大きな災害が生じた場合に自動的に保険金が振り込まれるものではありません。建物によっても被災状況は異なるほか、個別に契約している地震保険の内容によっても支払われる保険金が異なるためです。
 

そこで、まずは保険会社へ連絡のうえ、地震による損害状況を確認するための鑑定人を派遣してもらいます。保険会社と電話で相談のうえ、鑑定人が訪問する日程を調整しましょう。

2.鑑定人立ち会いのもとで被害状況の確認

鑑定人が現地まで訪問したら、自宅の壁や基礎、柱など細かいところまで確認し被害状況を把握します。なお、鑑定人が査定する際のポイントは建物の種類や規模、発生した災害の種類によっても異なり、これらのポイントについては別途詳しく解説します。

3.保険金の算出・了承

鑑定人が建物の状況を査定した結果をもとに、保険会社が保険金を算出し契約者へ提示します。提示された保険金の額に納得できた場合には、それを了承し手続きを進めます。

4.保険金の支払い

保険会社から提示された保険金に納得し了承した後、実際に保険会社から指定の口座へ保険金が振り込まれます。契約者本人が着金を確認し、一連の請求手続きは完了となります。



地震保険の査定ポイント

地震保険でどの程度の保険金が支払われるかは、鑑定人の査定結果が大きく影響します。そもそも鑑定人とは「損害保険登録鑑定人」の資格をもった専門職であり、第三者の客観的な視点から被災状況を確認します。

地震保険の査定にあたっては「地震保険損害認定基準」とよばれる統一的な基準をもとに判断されるのですが、建物の損害と家財の損害については査定ポイントも異なります。

建物の損害認定ポイント

建物の損害を査定する場合には、まず主要構造部の損害状況を確認します。建物の工法によっても査定ポイントは細かく分かれますが、主に基礎や屋根、外壁、軸組(柱)などの状況を確認します。これらは木造住宅を査定する場合のポイントですが、鉄筋コンクリート造や鉄筋造の場合は建物全体の沈下や傾斜の有無などが主な査定ポイントとなります。

また、津波による被害を受けた地域では、浸水の高さも重要な査定ポイントとなります。たとえば、床上浸水または地盤面から45cm以上を超える浸水被害があった場合には、主要構造部に損傷がなかったとしても一部損として認められる場合があります。

家財の損害認定ポイント

家財の損害を査定する場合には、分類ごとに1品目あたりのパーセンテージが決まっています。たとえば、「食器陶器類」に分類される食器や調理器具、食料品などは1品目あたり1%とカウントされ、最大5%が査定の上限となります。

ただし、地震によって皿が5枚割れたとしても、枚数に限らず1品目(1%)としかカウントされません。また、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの家電製品は最大20%、衣類や寝具類は最大30%というように、分類ごとに査定の上限割合も決まっています。

地震保険の査定に不服がある場合の相談先

地震保険の鑑定人は公平な立場から査定を行いますが、人間である以上、見落としや誤認が発生する可能性はゼロではありません。立ち会い時には疑問に感じていなかったものの、後になってから疑問が生じるケースもあるでしょう。そのような場合には、保険会社に対して不服申立てができます。

また、保険会社への対応にも納得できない場合などは、日本損害保険協会が運営している「そんぽADRセンター」へ問い合わせ・相談することも可能です。




地震保険の保険金を請求する際のコツ

地震保険に加入しているものの、「保険金請求の手続きを忘れてしまった」または「鑑定人の査定結果にどうしても納得できない」などのトラブルが発生することがあります。

このような事態を防ぐためには、保険金を請求する際のコツを押さえておく必要があります。今回は、特に重要な2つのポイントをピックアップしてみました。

保険会社への迅速な連絡

地震保険の保険金請求にあたって、もっとも基本的なポイントとなるのが連絡のタイミングです。地震の被害に遭った場合、保険会社へ保険金を請求できるのは3年までと法律によって定められています。そして、保険会社によっては3年よりも短い請求期限が定められているところも存在します。

そのため、保険金の請求手続きを忘れてしまい、気づいた頃には期限が過ぎてしまっていたというケースも考えられるため、できるだけ早めに保険会社へ連絡することが鉄則といえます。また、地震が落ち着いたあとで自宅を修復してしまうと、損傷箇所が判別できず保険金の請求が難しくなることも考えられるため注意しましょう。

写真または動画の撮影

家屋の外壁や屋根、基礎といった主要構造部の損傷は、地震によってできたものか経年劣化によってできたものかを鑑定人によって確認できます。

しかし、なかにはオーナー自身が査定結果に納得できずトラブルに発展することもあります。また、同様に家財の損害認定についても、地震によって生じた損害であるかの証明が難しいケースがあるでしょう。

そこで、地震直後の様子を写真や動画として収めておくことで、保険会社とのトラブルを防止することが期待できます。



保険金請求代行業者の利用もおすすめ

地震保険の保険金を請求するにあたっては、保険会社への連絡をはじめとして鑑定人の立ち会いなどさまざまな手続きが必要であることから、面倒に感じる人も少なくありません。

そこで、保険金の請求にあたってさまざまなサポートを行ってくれる専門の業者もあります。

保険金請求代行業者とは

保険金請求代行業者とは、地震保険や火災保険などの保険金を請求するにあたって、さまざまな助言やサポートをしてくれる業者のことを指します。「代行」という名称がついていますが、実際に手続きの代行ができるわけではなく、あくまでも手続きの仕方や手順、ルールなどを教えてくれる業者です。

保険金請求代行業者を利用するメリット

地震や火災によって住宅に大きな損害が生じた場合、多くの人はショックを受け、保険金などの手続きを行う気力さえ失ってしまうこともあります。また、地震保険の契約内容を細かく確認することが難しく、手続きが後回しになってしまうケースもあるでしょう。

そのような場合、保険会社との契約内容に沿って必要な手続きをサポートし、適切なアドバイスをしてくれる業者は精神的な支えにもなってくれるはずです。

信頼できる保険金請求代行業者を選ぶポイント

保険金請求の代行を行っている業者のなかには悪質な業者も存在し、消費生活センターや保険会社から注意喚起も行われています。保険金請求のサポートや助言を行うことは決して違法ではないものの、悪質な業者が後をたたないことからマイナスのイメージをもたれがちです。

そこで、信頼できる保険金請求代行業者を選ぶためには、以下のポイントに注意するよう心がけましょう。

住宅の修理やリフォームとの抱き合わせではない

悪質な業者の典型的な手口として、保険金請求のサポートは無料である代わりに、保険金で住宅の修繕やリフォーム工事を請け負うことが条件となっているケースがあります。しかし、このような行為は独占禁止法に違反するものであり、高額な修理費や工事費を請求されることも多いため絶対に契約すべきではありません。

また、工事との抱き合わせではないものの、修理やリフォーム業者を斡旋する業者とも契約は結ばないほうが良いでしょう。

契約書の控えが発行される

悪質な業者の場合、契約内容を明記した正式な契約書を交わさないケースがほとんどです。そのため、正式に依頼する前に契約書の控えを発行してもらえるかを確認しておきましょう。

保険会社の名前を出さない

悪質な業者のもうひとつの手口として、保険会社の名をかたるケースが少なくありません。たとえば「◯◯損害保険と提携している」などの言葉が出てきたら、ほぼ悪質業者と考えて間違いないでしょう。

保険金請求代行業者も活用しながら手続きを忘れないようにしよう

地震保険には最長3年という請求期限があることから、気づいたときには保険金の請求ができなくなっていたというケースが少なくありません。そのようなミスを防ぐためにも、できるだけ早めに保険会社へ連絡することが重要といえます。

ただし、保険金請求の手続き方法や手順、連絡先が分からない場合などは、保険金請求代行業者に相談してみるのもおすすめです。


地震保険の保険金が出ないケースと出たケースの違いは何?支払い例もご紹介!


地震や津波などの災害が多い日本において、万が一のときに役立つのが地震保険です。建物の保険といえば火災保険が代表的ですが、地震や津波、噴火といった大規模災害によって家屋が損傷した場合には保険金の支払い対象にはなりません。そこで、大規模災害が発生した際でも一定割合の金額を補償する仕組みとして地震保険があります。

 

しかし、地震保険に加入していたとしても、損害割合や損害の状況によって保険金が出ないケースもあることをご存知でしょうか。今回は、保険金が出るケースと出ないケースでは何が異なるのか、損害認定されずに保険金を受け取れなかった場合でも、プロの代行業者に頼むと出る事もあるか、プロに頼むケースと頼まないケースで支払い金額が変わるかなどの例も含めて詳しく解説します。

地震保険の仕組み

まずは基本知識として押さえておきたい、地震保険の仕組みについて解説しましょう。地震や津波といった大規模災害が発生した場合、被災範囲が広いことから保険会社だけでは保険金を支払うことができません。

 

そこで、地震保険は国と民間の保険会社が合同で提供しており、公共性の高い保険といえるのです。また、地震保険は単独で加入することができず、火災保険とセットで加入することが原則となります。

 

2016年以前に加入した地震保険の場合、支払われる保険金は「全損」、「半壊」、「一部損」の3パターンに分けられますが、2017年以降の地震保険では「全損」、「大半損」、「小半損」、「一部損」の4パターンに変更されています。どのパターンに該当するかは主要構造部の損害状況や焼失・流出状況によっても基準が異なりますが、いずれにしても専門の鑑定士によって判断されます。

 

また、地震保険によって支払われる保険金は、契約内容によっても異なりますが火災保険の評価額の30〜50%と定められており、建物の場合は5,000万円、家財は1,000万円がそれぞれ上限となります。そのため、仮に「全損」と認定された場合でも、建物の時価額すべてが保険金として支払われるとは限らず、最大でも50%であることを意味します。

 

2016年以前の保険開始期

 

2017年以降の保険開始期

 

全損

地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)

全損

地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)

半損

地震保険の保険金額の50%(時価額の50%が限度)

大半損

地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)

 

 

小半損

地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)

一部損

地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)

一部損

地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)




地震保険に加入しているのに保険金が出ないケース

地震保険の仕組みでも紹介したとおり、建物が焼失・流失せずに残っている場合には、主要構造部の損害状況によって保険金の割合が決定します。そもそも主要構造部とは、壁や柱、基礎、外壁など、建物の構造上不可欠な部分を指します。反対に考えれば、主要構造部に該当しない部分が損傷し、なおかつ主要構造部には損傷が認められなかった場合には、地震保険へ加入していたとしても保険金が支払われない可能性が高いことを意味します。

 

たとえば、建物内部の間仕切り壁や”ひさし”、屋外の階段、間柱などは主要構造部には該当しません。また、地震によって窓ガラスにヒビが入ったり割れたりすることも多いですが、こちらも主要構造部には該当しないため保険金の支払対象とはなりません。

 

また、家屋の近くに駐車場を併設しているケースも多いと思いますが、地震保険での対象となるのはあくまで家屋のみです。駐車場に取り付ける屋根(カーポート)や塀などが破損したとしても保険金の支払対象には認められないほか、それによって自動車が破損した場合でも地震保険の適応外となります。

地震保険での保険金が出るケース

では反対に、地震保険に加入している状態で保険金が出やすいのはどのようなパターンなのでしょうか。

家屋そのものが焼失・流失

地震による被害と聞くと、強い揺れによって家屋が倒壊するイメージを抱くことも多いですが、必ずしもそれだけとは限りません。たとえば、二次災害によって火災が発生し、一部または全部が焼失することもあるでしょう。自宅から火災が発生しなくとも、近隣の住宅から火の手が上がり、消火が遅れ周囲の家屋まで延焼するケースもあります。

 

さらに、海岸に近い場所に自宅がある場合には、津波が発生し家屋が流されることも懸念されます。地震保険は家屋の焼失または流失に応じて全損から一部損と認定され、被災状況に応じた保険金が支払われます。

主要構造部の損傷

強い揺れによって、建物の柱や外壁、基礎などの主要構造部にダメージを受けた場合、保険金の支払対象として認定されます。主要構造部がどの程度のダメージを受けているのかは専門的な知識がある鑑定士でなければ正確に把握できません。

 

一見するとヒビや傷がないように見えても、鑑定士が見ると想像以上に損害が発生しているケースも珍しくないのです。また、鑑定士は主要構造部の損害がいつ頃発生したものかを把握することも可能です。そのため、地震によって生じたヒビや傷ではないかもしれないと感じていても、まずは鑑定士に自宅まで訪問してもらい、状況確認を依頼することが重要といえるでしょう。

家財の損傷

地震保険は建物だけでなく、家財道具に対しても補償範囲に含まれます。たとえば、テレビやエアコン、冷蔵庫、洗濯機といった家電製品はもちろんのこと、食器類や衣類、家具といったものも家財道具にカウントされます。

 

ただし、家財道具の損害をカウントする場合には、品目ごとに1点となります。仮に、食器が落下し20枚割れてしまったとしても、あくまでも1つとしてカウントされるということです。

また、家財の損害時に保険金が支払われる条件としては、家財総額の10%を超えている場合に限られます。地震によって皿が数枚落下し、あとの家財道具はすべて無事という場合には補償の対象とならないケースが多いため注意しましょう。

 

なお、家財の損傷において覚えておきたいのは、高い価値のある絵画や骨董品、その他美術品などは補償の対象とならないことです。大切な財産を安全に管理するためには、自宅以外の保管場所を別途確保しておくか、耐火金庫などに保管しておくようにしましょう。

 

支払い認定をされなった場合でもプロに頼めば認定されたケースもある

申請をした事のない被保険者が申請してみた結果、損害認定されずに保険金が受け取れなかったケースは多数あります。

そのような場合の多くが、表面的に見えていなかった部分を点検できない事にあります。建物の構造に精通していて、申請業務に慣れている業者に任せると、外から見えない内部等の点検をする事で隠れた損害を見逃さず認定されたケースなど、多数あるのでまずは相談してみるのが良いと言えるでしょう。

 

地震保険に加入していた場合の保険金支払い例

地震保険に加入していた家屋が被災した場合、実際に支払われる保険金はいくらなのかが気になる方も多いことでしょう。そこで今回は、火災保険の評価額3,000万円の建物が被災したと想定し、支払われる保険金をシミュレーションしてみましょう。

全損の場合

主要構造部の損傷割合が50%以上の場合、または延床面積の70%以上が焼失・流失した場合に全損として認定されます。

【保険契約内容が火災保険評価額の30%の場合】

3,000万円×30%=900万円

【保険契約内容が火災保険評価額の50%の場合】

3,000万円×50%=1,500万円

大半損の場合

主要構造部の損傷割合が40%以上50%未満の場合、または延床面積の50%以上70%未満が焼失・流失した場合には大半損として認定されます。

なお、大半損の場合は地震保険の保険金額に対して60%が保険金支払額の限度となります。

【保険契約内容が火災保険評価額の30%の場合】

3,000万円×30%=900万円 900万円×60%=540万円

【保険契約内容が火災保険評価額の50%の場合】

3,000万円×50%=1,500万円 1,500万円×60%=900万円

小半損の場合

主要構造部の損傷割合が20%以上40%未満の場合、または延床面積の20%以上50%未満が焼失・流失した場合には小半損として認定されます。

なお、大半損の場合は地震保険の保険金額に対して30%が保険金支払額の限度となります。

【保険契約内容が火災保険評価額の30%の場合】

3,000万円×30%=900万円 900万円×30%=270万円

【保険契約内容が火災保険評価額の50%の場合】

3,000万円×50%=1,500万円 1,500万円×30%=450万円

一部損の場合

主要構造部の損傷割合が3%以上20%未満の場合、または床上浸水(地盤面から45cmを超える浸水も含む)した場合には小半損として認定されます。

なお、大半損の場合は地震保険の保険金額に対して5%が保険金支払額の限度となります。

【保険契約内容が火災保険評価額の30%の場合】

3,000万円×30%=900万円 900万円×5%=45万円

【保険契約内容が火災保険評価額の50%の場合】

3,000万円×50%=1,500万円 1,500万円×5%=75万円



地震保険を見直し保険金の支払い条件を確認しておこう

今後高い確率で発生するといわれている南海トラフ地震に代表されるような、大規模災害へ備える意味でも地震保険は重要です。被災した後、自分自身の住居を確保し本来の生活を取り戻すためにも、地震保険の内容をあらためて見直し、いざというときにどの程度の保険金が支払われるのかを把握しておきましょう。

 

【地震保険】基礎のヒビ割れが発生した場合の正しい対処法を解説

地震ヒビ

 

住宅の土台ともいえる基礎部分は、建物のなかでも重要な役割を果たします。しかし、強度の高いコンクリートでできている基礎も、さまざまな要因によってヒビ割れが生じることがあります。

小さなヒビ割れだからといってそのまま放置しておくと、さまざまな問題が生じることも。基礎部分のヒビ割れを補修するためには高額な費用がかかることもありますが、そのような場合におすすめなのが地震保険です。

今回は、いざというときに覚えておきたい地震保険の概要も含めて詳しく解説します。



基礎のヒビ割れとは?

地震

そもそも基礎のヒビ割れはなぜ起こるのか、放置しておくとどのような弊害が生じるのか、基礎知識として覚えておきたいポイントを解説しましょう。

基礎のヒビ割れが起きる原因

基礎のヒビ割れは、主に以下の6つの要因によって発生します。

 

1.乾燥:コンクリート内部の水分が蒸発し、基礎が収縮することで発生するヒビ割れ

2.気温の変化:気温の低下によってコンクリートが収縮し発生するヒビ割れ

3.不同沈下:建物そのものが斜めに傾き、基礎に大きな力が加わることで発生するヒビ割れ 地盤の弱い土地の場合などで発生しやすい

4.地震:地震によって大きな衝撃が加わり発生するヒビ割れ ただし、基礎の多くは地震に耐えうる強度を有している場合がほとんどで、地震だけが原因でヒビ割れが発生するケースは稀

5.施工不良:コンクリートの強度不足や厚みが十分でない場合など、施工不良によって発生するヒビ割れ

6.コンクリートの中性化:コンクリートに含まれるカルシウム化合物が二酸化炭素と化学反応を起こし中性化、コンクリートの強度が低下することで発生するヒビ割れ

 

基礎のヒビ割れを放置しておくとどうなる?

基礎にヒビ割れが生じたとしても、即座に建物が倒壊することは少ないでしょう。

しかし、基礎は建物を支える重要な部分であることは事実です。はじめのうちは小さなヒビ割れであったとしても、徐々に力が加わることでヒビの範囲が拡大し、建物が傾いたり地盤沈下を引き起こしたりする場合もあります。

また、コンクリートに小さな隙間ができることで空気が水分がコンクリート内部の鉄骨まで浸潤し、サビの原因になることも。鉄骨が錆びるということは家屋を支える骨組みの強度が低下することを意味しており、耐震性の面でもデメリットとなるでしょう。

そのため、基礎のヒビ割れが見つかった場合、できるだけ早い段階で補修することが重要となるのです。




覚えておきたい地震保険の基礎

建物

基礎のヒビ割れを補修するとなった場合、建物の要である以上「高額な費用がかかるのではないか」と心配になる方も少なくありません。そこで活用したいのが地震保険です。

そもそも地震保険とはどのような仕組みになっているのか、どのような場合に保険金を受け取ることができるのかも合わせて紹介しましょう。

地震保険とは?

地震保険とはその名の通り、地震をはじめとした災害によって生じた家屋の損害について補償する保険です。地震保険は原則として火災保険とセットで申し込む必要があり、地震保険のみを提供している保険会社はありません。

そもそも火災保険は、地震や津波、噴火といった大規模災害による家屋の損壊を補償していません。大規模災害が発生した場合、影響範囲は極めて広大であり、多くの保険加入者に影響が及ぶ可能性があります。

保険会社といえども、そのような状況下では一度に多くの保険金を支払えず、事業として成り立たない可能性があるため、地震保険は保険会社と国が共同で運営しています。国との運営である以上、どの保険会社を選んでも地震保険の補償内容は同一です。


地震保険で受け取れる保険金

地震保険は火災保険と異なり、支払われる保険金の割合および金額に制限があります。具体的には、火災保険の30〜50%までの範囲内でしか保険金の契約ができません。また、建物の契約金額については5,000万円までという上限が設定されており、これを上回る保険金も支払われることはありません。



地震保険の対象となる条件

地震

地震保険の基本的な内容は上記で紹介した通りですが、適用条件などについてもう少し詳しく解説しましょう。

地震保険の適用条件

地震保険では、建物の損壊状況に応じて「全損」から「一部損」まで4つの段階があり、それぞれ支払われる保険金の割合も変わってきます。

損壊状況を判定する際の基準は「主要構造部の損害」または「建物の流出または消失」が基準となります。このうち、主要構造部とは建物の基礎や外壁、屋根、軸組などが含まれます。

損壊状況

保険金額

主要構造部の損害

建物の流出または消失

一部損

地震保険契約金額の5%(時価5%まで)

建物の時価の3%以上20%未満

全損・大半損・小半損に至らず、床上浸水または地盤面より45㎝以上浸水した場合

小半損

地震保険契約金額の30%(時価30%まで)

建物の時価の20%以上40%未満

延床面積の20%以上50%未満

大半損

地震保険契約金額の60%(時価60%まで)

建物の時価の40%以上50%未満

延床面積の50%以上70%未満

全損

地震保険契約金額の100%(または時価)

建物の時価の50%以上

延床面積の70%以上

上記に示した「主要構造部の損害」および「建物の流出または消失」の割合を決定するのは、建築に関する専門知識を有した鑑定人です。一見すると建物自体へのダメージが少ないように見えても、細かい部分まで詳細に確認してみると一部損や小半損に該当するレベルまで損害が及んでいるケースも少なくありません。

多くの保険会社では、専門の鑑定会社に対して建物の鑑定を委託しており、客観的な立場から公正な鑑定を行います。

地震保険の適用されないケース

以下の例に該当する場合、地震保険は適用されず保険金を受け取ることができません。

地震以外の要因

地震保険はあくまでも地震をはじめとした災害が原因と認められる損害を補償するものです。そのため、もともと地盤沈下を引き起こしている土地や、施工不良が原因で基礎にヒビが入っていると認定されてしまうと地震保険が適用されず、保険金も受け取ることができません。

損害の程度が軽微な場合

鑑定人による鑑定の結果、たとえば基礎部分のヒビが軽微であったり数が少なかったりした場合、損害状況が一部損の基準まで至らないケースもあるでしょう。このような場合においても、地震保険は適用外となります。

地震発生から10日以上経過後に生じた損害

地震保険が適用されるのは、地震発生から10日以内に生じた損害に限られます。そのため、大きな地震等が発生した場合には、できるだけ早めに鑑定人に見てもらうことが重要です。しかし、大きな地震直後は多くの保険加入者から鑑定依頼が殺到することも予想されるため、まずは現場の状況が把握できるよう写真に収めておきましょう。被災直後の写真が残っていれば、それが客観的な証拠となり鑑定もスムーズに進めることができます。

地震保険適用時に必要なものは?

保険

実際に地震の被害に遭って家屋に損害が生じた場合、地震保険の申請にあたってはどのような書類が必要になるのでしょうか。最低限用意しておきたいのは、以下の3点です。

保険証書

地震保険へ加入すると、保険へ加入した旨を証明する書類として「保険証書」が発行されます。契約者の情報はもちろんですが、地震保険に関する詳しい契約内容が記載されており、保険会社へ問い合わせの際には保険証書の記載内容が確認されます。

なお、保険証書そのものを紛失した場合や被災によって滅失したとしても、保険会社へ連絡をすれば再発行手続きも可能です。また、保険証書を紛失したために、どこの保険会社へ加入していたかを忘れてしまった場合でも、「日本損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター」へ問い合わせることで照会を行ってくれます。

 

日本損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター

0120-501331(平日9:15~17:00)

損壊場所の写真

地震によって生じたヒビ割れの箇所を写真に収めておくことで、鑑定時に資料として提出でき、鑑定がスムーズに進むこともあります。地震発生直後から10日以内に鑑定人が自宅へ訪問できる場合であれば問題ありませんが、被災地域が広範囲に及ぶ場合、鑑定人の訪問まで時間を要することも多いため写真として残しておくことがおすすめです。

建物の図面

建物の構造によっても確認箇所はさまざまであるため、図面があると鑑定作業もスムーズに進みます。もし手元に建物の図面がある場合には用意しておきましょう。

まとめ

日頃から住宅の基礎部分を細かく点検している方は少なく、大きな地震があった際に初めて基礎部分のヒビ割れに気付くケースもあります。そのため、地震保険が適用されるか否かを判定してもらうためにも、まずは地震保険へ加入中の保険会社へ連絡のうえ、鑑定を行ってもらうことが重要です。

 

 

地震保険のサービス紹介動画はこちらから

査定が厳しい?地震保険における請求の流れを解説

日本では大規模災害が毎年のように頻発しており、大きな地震によって被災する可能性はゼロではありません。一度の地震で大きな被害を受けなかったとしても、家屋の壁や柱、基礎などにヒビが入ってダメージが蓄積されていくケースもあるでしょう。

「せっかく家を建てたのに、地震によって家屋が損壊してしまった」、または「津波によって家が流されてしまった」というリスクに備えておくために、地震保険が注目されています。

しかし、保険金を請求する際の流れが分からない方も少なくありません。
今回の生地では、地震保険の保険金を請求するまでの流れや査定時のポイントなども含めて詳しく解説します。



地震保険で支払われる保険金の割合

地震保険の保険金を請求する際、前提として覚えておきたいのが損害の程度に応じた保険金の割合です。地震保険は、建物および家財がどの程度被害を受けたかによって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つに分類し、保険金として支払われる金額の割合が決定します。

画像

建物

建物の被害状況と保険金の割合は以下の通りです。

分類

状況

支払われる保険金の割合

全損

基礎や柱、壁といった主要構造部の損害額が建物の時価額50%以上に達した場合 焼失・流出した床面積が延床面積の70%以上に達した場合

地震保険金額の100%

大半損

基礎や柱、壁といった主要構造部の損害額が建物の時価額40~50%の場合 焼失・流出した床面積が延床面積の50~70%の場合

地震保険金額の60%

小半損

基礎や柱、壁といった主要構造部の損害額が建物の時価額20~40%の場合 焼失・流出した床面積が延床面積の20~50%の場合

地震保険金額の30%

一部損

基礎や柱、壁といった主要構造部の損害額が建物の時価額3~20%の場合 床上浸水または地盤面から45cm以上浸水し、全損・大半損・小半損いずれにも該当しない場合

地震保険金額の5%

 

家財


次に、家財の被害状況と保険金の割合は以下の通りです。

分類

状況

支払われる保険金の割合

全損

家財の損害額が家財全体の時価額80%以上に達した場合

地震保険金額の100%

大半損

家財の損害額が家財全体の時価額60~80%の場合

地震保険金額の60%

小半損

家財の損害額が家財全体の時価額30~60%の場合

地震保険金額の30%

一部損

家財の損害額が家財全体の時価額10~30%の場合

地震保険金額の5%



地震保険の請求対象となるもの

 

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地震保険はすべての災害が保険金支払いの対象となるものではなく、地震・津波・噴火によって直接的または間接的に被害を受けた場合に限られます。

台風や大雨、突風などによって損壊したものは地震保険ではなく火災保険の補償範囲となるため注意しましょう。

ちなみに、地震保険によって保険金が請求できるケースは以下のような例が挙げられます。


・地震によって建物の一部または全部が損壊した場合
・津波によって建物の一部または全部が流された場合
・噴火に伴い溶岩や噴石、火山灰、爆風によって建物の一部または全部が損壊した場合
・地震によって引き起こされた火災によって建物の一部または全部が焼失した場合
・地震によって引き起こされた土石流によって建物の一部または全部が損壊した場合

 
など

地震保険の保険金が支払われるまでの流れ

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では、万が一地震や津波などによって家屋が被災した場合、どのような流れで保険金を請求することになるのでしょうか。保険金の請求から建物の査定、および保険金の支払いまでの一連の流れを以下にまとめました。


  1. 1契約者から保険会社へ連絡・事故受付
  2. 2建物の被災状況を現地で確認するための日程調整
  3. 3鑑定士が現地へ訪問のうえ建物の被災状況を確認
  4. 4鑑定士の調査結果をもとに損害を認定
  5. 5保険金額を契約者へ提示・了承
  6. 6保険金の支払い

上記のうち、3の「鑑定士」は保険会社から委託された鑑定会社が鑑定士を現地へ派遣するのが一般的です。

鑑定士が確認するポイントはある程度決まっていますが、建物の解錠や施錠、損傷箇所を案内するためにも現地へ立ち会う必要があります。

ただし、建物の外観上は損傷が見られても、必ずしもすべてが保険金支払いの対象となるとは限りません。

反対に、主要構造部などにわずかなヒビや傷があった場合には、建物の外観上はほとんど損傷が見られなくても保険金の支払い対象となることもあります。


地震保険の保険金を請求する際の注意点

地震保険の保険金を請求する場合、いくつか注意しておかなければならないポイントがあります。特に押さえておくべき3つの点に絞って紹介しましょう。
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契約者から連絡しなければならない

大きな地震が発生したとしても、保険会社から契約者へ連絡をとることは基本的になく、あくまでも契約者から保険会社に対して連絡のうえ事故受付をしてもらう必要があります。

地震保険へ加入していることを忘れてしまうと、保険金の請求タイミングを逃してしまう可能性もあるため注意しましょう。

3年を経過すると保険金を請求できない

地震保険には請求期限があり、3年を経過すると保険金を請求することができなくなります。

保険金の請求手続きは先送りせず、できるだけ早めに行うようにしましょう。また、同時に、過去3年間で大きな地震に見舞われなかったか、その時点で地震保険へ加入済みであったかも合わせて確認しておきましょう。

罹災証明書・修理見積書は不要

地震保険の保険金を請求する際には、罹災証明書を取得する必要はありません。また、地震保険は家屋の修理にかかった実費を補償するものではなく、損壊の状況や程度に合わせて支払い額の割合が決定するため、修理にかかる見積書の提示も不要です。


地震保険の査定は厳しい?支払額をアップさせるためのポイント

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実際に保険金の請求手続きを進めるなかで、保険会社の鑑定士による現地確認を終えた結果、「査定が厳しく一部損の認定がされなかった」という声が聞かれることもあります。これは査定そのものが厳しいというよりも、査定のポイントが見逃されているのです

では、そのような状況のなかでも確実に損害認定してもらうには、どうすれば良いのでしょうか。
特におすすめしたいのが、
保険会社の鑑定士と同じ目線で見られるプロに立ち会ってもらうことです。

鑑定士はあくまでも客観的な目線で公平に鑑定をおこなってくれますが、保険会社からの依頼を受けて派遣されていることも事実です。また、人間である以上、鑑定時に見落としや誤認が発生する可能性もあるでしょう。

地震保険の申請や鑑定立ち会いのサポートを提供している専門業者では、建築構造に関する専門的な資格をもったプロが在籍しています。

地震保険の鑑定が初めての方にとって、立ち会い時に保険会社の鑑定士と同じ目線で見られるプロの存在は心強いものです。適正かつ納得感のある鑑定を行ってもらうためにも、ぜひ一度専門業者へ相談してみてはいかがでしょうか。


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