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【地震保険】基礎のヒビ割れが発生した場合の正しい対処法を解説

2021.11.09

地震ヒビ

 

住宅の土台ともいえる基礎部分は、建物のなかでも重要な役割を果たします。しかし、強度の高いコンクリートでできている基礎も、さまざまな要因によってヒビ割れが生じることがあります。

小さなヒビ割れだからといってそのまま放置しておくと、さまざまな問題が生じることも。基礎部分のヒビ割れを補修するためには高額な費用がかかることもありますが、そのような場合におすすめなのが地震保険です。

今回は、いざというときに覚えておきたい地震保険の概要も含めて詳しく解説します。



基礎のヒビ割れとは?

地震

そもそも基礎のヒビ割れはなぜ起こるのか、放置しておくとどのような弊害が生じるのか、基礎知識として覚えておきたいポイントを解説しましょう。

基礎のヒビ割れが起きる原因

基礎のヒビ割れは、主に以下の6つの要因によって発生します。

 

1.乾燥:コンクリート内部の水分が蒸発し、基礎が収縮することで発生するヒビ割れ

2.気温の変化:気温の低下によってコンクリートが収縮し発生するヒビ割れ

3.不同沈下:建物そのものが斜めに傾き、基礎に大きな力が加わることで発生するヒビ割れ 地盤の弱い土地の場合などで発生しやすい

4.地震:地震によって大きな衝撃が加わり発生するヒビ割れ ただし、基礎の多くは地震に耐えうる強度を有している場合がほとんどで、地震だけが原因でヒビ割れが発生するケースは稀

5.施工不良:コンクリートの強度不足や厚みが十分でない場合など、施工不良によって発生するヒビ割れ

6.コンクリートの中性化:コンクリートに含まれるカルシウム化合物が二酸化炭素と化学反応を起こし中性化、コンクリートの強度が低下することで発生するヒビ割れ

 

基礎のヒビ割れを放置しておくとどうなる?

基礎にヒビ割れが生じたとしても、即座に建物が倒壊することは少ないでしょう。

しかし、基礎は建物を支える重要な部分であることは事実です。はじめのうちは小さなヒビ割れであったとしても、徐々に力が加わることでヒビの範囲が拡大し、建物が傾いたり地盤沈下を引き起こしたりする場合もあります。

また、コンクリートに小さな隙間ができることで空気が水分がコンクリート内部の鉄骨まで浸潤し、サビの原因になることも。鉄骨が錆びるということは家屋を支える骨組みの強度が低下することを意味しており、耐震性の面でもデメリットとなるでしょう。

そのため、基礎のヒビ割れが見つかった場合、できるだけ早い段階で補修することが重要となるのです。




覚えておきたい地震保険の基礎

建物

基礎のヒビ割れを補修するとなった場合、建物の要である以上「高額な費用がかかるのではないか」と心配になる方も少なくありません。そこで活用したいのが地震保険です。

そもそも地震保険とはどのような仕組みになっているのか、どのような場合に保険金を受け取ることができるのかも合わせて紹介しましょう。

地震保険とは?

地震保険とはその名の通り、地震をはじめとした災害によって生じた家屋の損害について補償する保険です。地震保険は原則として火災保険とセットで申し込む必要があり、地震保険のみを提供している保険会社はありません。

そもそも火災保険は、地震や津波、噴火といった大規模災害による家屋の損壊を補償していません。大規模災害が発生した場合、影響範囲は極めて広大であり、多くの保険加入者に影響が及ぶ可能性があります。

保険会社といえども、そのような状況下では一度に多くの保険金を支払えず、事業として成り立たない可能性があるため、地震保険は保険会社と国が共同で運営しています。国との運営である以上、どの保険会社を選んでも地震保険の補償内容は同一です。


地震保険で受け取れる保険金

地震保険は火災保険と異なり、支払われる保険金の割合および金額に制限があります。具体的には、火災保険の30〜50%までの範囲内でしか保険金の契約ができません。また、建物の契約金額については5,000万円までという上限が設定されており、これを上回る保険金も支払われることはありません。



地震保険の対象となる条件

地震

地震保険の基本的な内容は上記で紹介した通りですが、適用条件などについてもう少し詳しく解説しましょう。

地震保険の適用条件

地震保険では、建物の損壊状況に応じて「全損」から「一部損」まで4つの段階があり、それぞれ支払われる保険金の割合も変わってきます。

損壊状況を判定する際の基準は「主要構造部の損害」または「建物の流出または消失」が基準となります。このうち、主要構造部とは建物の基礎や外壁、屋根、軸組などが含まれます。

損壊状況

保険金額

主要構造部の損害

建物の流出または消失

一部損

地震保険契約金額の5%(時価5%まで)

建物の時価の3%以上20%未満

全損・大半損・小半損に至らず、床上浸水または地盤面より45㎝以上浸水した場合

小半損

地震保険契約金額の30%(時価30%まで)

建物の時価の20%以上40%未満

延床面積の20%以上50%未満

大半損

地震保険契約金額の60%(時価60%まで)

建物の時価の40%以上50%未満

延床面積の50%以上70%未満

全損

地震保険契約金額の100%(または時価)

建物の時価の50%以上

延床面積の70%以上

上記に示した「主要構造部の損害」および「建物の流出または消失」の割合を決定するのは、建築に関する専門知識を有した鑑定人です。一見すると建物自体へのダメージが少ないように見えても、細かい部分まで詳細に確認してみると一部損や小半損に該当するレベルまで損害が及んでいるケースも少なくありません。

多くの保険会社では、専門の鑑定会社に対して建物の鑑定を委託しており、客観的な立場から公正な鑑定を行います。

地震保険の適用されないケース

以下の例に該当する場合、地震保険は適用されず保険金を受け取ることができません。

地震以外の要因

地震保険はあくまでも地震をはじめとした災害が原因と認められる損害を補償するものです。そのため、もともと地盤沈下を引き起こしている土地や、施工不良が原因で基礎にヒビが入っていると認定されてしまうと地震保険が適用されず、保険金も受け取ることができません。

損害の程度が軽微な場合

鑑定人による鑑定の結果、たとえば基礎部分のヒビが軽微であったり数が少なかったりした場合、損害状況が一部損の基準まで至らないケースもあるでしょう。このような場合においても、地震保険は適用外となります。

地震発生から10日以上経過後に生じた損害

地震保険が適用されるのは、地震発生から10日以内に生じた損害に限られます。そのため、大きな地震等が発生した場合には、できるだけ早めに鑑定人に見てもらうことが重要です。しかし、大きな地震直後は多くの保険加入者から鑑定依頼が殺到することも予想されるため、まずは現場の状況が把握できるよう写真に収めておきましょう。被災直後の写真が残っていれば、それが客観的な証拠となり鑑定もスムーズに進めることができます。

地震保険適用時に必要なものは?

保険

実際に地震の被害に遭って家屋に損害が生じた場合、地震保険の申請にあたってはどのような書類が必要になるのでしょうか。最低限用意しておきたいのは、以下の3点です。

保険証書

地震保険へ加入すると、保険へ加入した旨を証明する書類として「保険証書」が発行されます。契約者の情報はもちろんですが、地震保険に関する詳しい契約内容が記載されており、保険会社へ問い合わせの際には保険証書の記載内容が確認されます。

なお、保険証書そのものを紛失した場合や被災によって滅失したとしても、保険会社へ連絡をすれば再発行手続きも可能です。また、保険証書を紛失したために、どこの保険会社へ加入していたかを忘れてしまった場合でも、「日本損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター」へ問い合わせることで照会を行ってくれます。

 

日本損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター

0120-501331(平日9:15~17:00)

損壊場所の写真

地震によって生じたヒビ割れの箇所を写真に収めておくことで、鑑定時に資料として提出でき、鑑定がスムーズに進むこともあります。地震発生直後から10日以内に鑑定人が自宅へ訪問できる場合であれば問題ありませんが、被災地域が広範囲に及ぶ場合、鑑定人の訪問まで時間を要することも多いため写真として残しておくことがおすすめです。

建物の図面

建物の構造によっても確認箇所はさまざまであるため、図面があると鑑定作業もスムーズに進みます。もし手元に建物の図面がある場合には用意しておきましょう。

まとめ

日頃から住宅の基礎部分を細かく点検している方は少なく、大きな地震があった際に初めて基礎部分のヒビ割れに気付くケースもあります。そのため、地震保険が適用されるか否かを判定してもらうためにも、まずは地震保険へ加入中の保険会社へ連絡のうえ、鑑定を行ってもらうことが重要です。

 

 

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